最悪、マリアンナは居なくても良い。だって、私の婚約者はレイモンなのよ。

 真剣な顔をしたレイモンに「君のように犯罪まがいな嫌がらせを重ねた女性と、このまま結婚することは出来ない……婚約破棄だ!」と、言って貰わないと困るの! 私の勝手だけど!

 婚約破棄してくれるなら、今夜が良いの!

 なんと、悪役令嬢に転生したばかりの私は婚約破棄されるために、会場で婚約者の王子様を探すという、訳のわからない事態になってしまった。

 会場を出て、私はレイモンの居そうな場所を探すことにした。生徒会室? ううん。寮に居るのかな……せっかくの卒業式なのに、何をしているのかしら。王太子の彼が主役と言っても過言でもないのに。

 それに、私に婚約破棄するという衝撃的な出来事がなかったら、レイモンが卒業生代表として最後にお世話になった教師の先生たちや来賓の貴族たちに感謝の言葉を述べるはずよ。

 はーあ……悪役令嬢に転生するなら、物語開始前幼女の時とかせめて物語開始と同時でも良かったなあ……そうしたら、そもそも悪役令嬢にならないルートを辿り……王太子レイモンとも、恋仲になれたかもしれないのに……。