「契約成立だな」
ほぼ一方的な内容の契約だ。
「時給はほんとに3千円!?締日は?支払日は!?」
はっ!!!
「っていうか、勤務時間は何時から何時までですか!?」
早く帰ってお母さんや晴にご飯作ってあげなきゃ!!
「いや、質問多いわ」
でっですよね。
「そうだな…日給はどうだ?」
日給!!
なんて輝かしい言葉!!!
今月分の喫茶店のバイト代は今日もらえるから…ん?
「あー!!今日は働けません!!喫茶店行かなきゃなんです!!」
バイト代ももらわなきゃ!
「あ?ここで働けって言っただろ?」
「だから!今日までは別のバイトがあるんです!!お給料もらわなきゃなんです!!」
「無理。ここで働け」
は?コイツ、頭悪いの?
「聞こえてますか?私、今日最後のお給料をもらわなきゃなんです!」
「そのバイト先なら辞めるって言っておいた」
は………?
「なに…勝手に色んな事してんのよ…」
私がどんな思いで必死に働いてきたかーー…
「ん」
封筒を渡された。
「昨日までのバイト代なら預かってきた。お前は今日からここで働け」
店長や奥さんにもきちんと挨拶したかった…。
私はバイト代が入った封筒をぎゅっと握りしめた。
「閉まらねーよ」
「え…?」
「あの喫茶店、経営がヤバかったみたいだけどウチから援助したからこれからもやっていける。だから、また顔見せにでも行ってやれ」
そう…なの……?
「あのお店、助けてくれたの?」
どうしてそこまで……
「お前が今日からここで働くのが交換条件だからな。破るなら、その店も閉まる」
どーーーーんっっ
お母さんたちの新居に喫茶店の経営……
一気にのしかかる物が大き過ぎて重過ぎて、私には抱えきれる気がしない。
「わかったなら、さっさと仕事しろ」
「は?仕事って言われたって何すれば…!!」
ガチャッ
「阿部様、ご案内いたします。こちらへどうぞ」
飯田さん!!
「いいな?自給分、しっかり働け」
うるさいわ!!
言われなくても働くっちゅーねん!!!!