キーンコーン…

「あんたさぁ、疲れ過ぎじゃない?」

「ここ最近、毎日家の雑務終わったら夜中1時まで勉強、そして朝5時起き」

「毎日楽しんでるね」

「どこが!!!あんのキモ…!」

いや、、、

「金持ちわがまま坊っちゃんのせいで」


さすがに、外でキモ野郎とは言えない。



元はと言えば……

(回想)

「あ?お前こんなんもわかんねぇの?中学レベルだぞ」

「そんなことないです!!これは高校レベルです!!」

「それでもわかってねぇんだろ?何胸張って言ってんだよ」



仰る通り!!!



キモ野郎の部屋を掃除していた時、アイツのノートが床に落ちていた。


拾った拍子に見えたのは、暗号のような数式。


「すご…」

このひと言が間違いだったんだ。


そこから色んな数式やら英文やら呪文のように言われたが、全く答えられず。


「ウチのメイドのレベルが疑われる。今日から勉強するぞ」


「えぇ!?」


(回想終了)



「私…一応奨学金もらってるんだけどな……」

アイツが頭良過ぎるんだよ。



「いいじゃん♪御曹司くんに勉強教えてもらってんでしょ?それ周りにバレたら、あんた集中攻撃されるよ」


「えぇ!?そうなの!?」


なんで!?
みんなしたいなら、いつでも代わりますよ!?



無職になりかけてからもうすぐ1ヶ月。
なんだか怒涛過ぎて、未だに思考が追いつかない。
このなんともいえない、現実離れした生活に。




「ねぇ、あれって皆実グループの…」

「暁斗様よー!!」


教室の窓際で女子たちが叫んでいる。


「なんだよ、あんな奴に騒いじゃってさ」

男子はぶーぶーふてくされている。



って!!

「そんなことどうでもいいー!!!!」

今、皆実って言った!?
暁斗って言った!?


キモ野郎の名前じゃん!!


ここ、私の高校だよね!?
なんでアイツの名前が聞こえるの!?



「いや、あんた声大きいわ」

みっちゃんがいつもツッこんでくれるから、私の発言は成り立っている。