アシュリンはフォーサイス家に訪れた人々の顔を思い浮かべながら、リュックに手を入れてパンと果物を取り出す。その他にも、野菜やお肉を取り出して、テーブルに並べてラルフに向けて腕を広げる。

「食べて食べて！」
「そのリュック本当にすごいね……」

　目をパチパチとさせてから、ゆっくりと野菜――にんじんときゅうりのスティックサラダに手を伸ばした。

　にんじんをつまんで、そのままポリポリとかじっていく。

「あまいね」

　ごくんと飲み込んでから、ラルフは味の感想を口にする。アシュリンは「でしょ！」と満面の笑みを浮かべた。

　スティックサラダは母のホイットニーが畑で育てた野菜を、食べやすいように切ってくれたもの。パンは祖母のトレッサが作ってもの。他の果物やお肉は、旅立つ前に買い込んだものだ。リュックの中に入れておけば、いつでも新鮮でおいしいものが食べられる。

「きゅうりもおいしいよ！　お塩をちょこっとつけて食べるのもおすすめ！」

　小皿と塩を取り出して、ラルフに渡す。アシュリンに言われたように小皿に塩を少しだけ出し、きゅうりをつまんでちょこっとだけ塩をつけて口に運ぶ。