「アシュリンのおじいさんは、かばんを作ることを楽しんでいるんだね」
「うん、おじいちゃんはもともと、なにかを作るのが好きだったんだって! だけど、一人で作るのが好きだから、せーさんせいはひく……くて? 頼まれた分しか作らないんだって!」
「生産性、かな。確かに一人だと大変そうだ」
「お母さんがたまに手伝っているけれど、自分のペースで作れるって言ってたよ」

 ピロマ村の村長である祖母のトレッサ。父であるグリシャは次期村長だ。

 おそらく、グリシャの次は兄のアンディになるだろうと、アシュリンは考えている。

 母のホイットニーはたまにケヴィンの仕事を手伝っているが、主に家の中を守っている。家事の中心は彼女だ。

 妹のエレノアはまだ幼いので、家族からの愛情をたっぷりともらって育っている。末っ子のエレノアは甘え上手に育っているような気がして、アシュリンはくすくすと笑い声をもらす。

「思い出し笑い?」
「エレノア――あ、妹なんだけどね。あの子末っ子だから甘え上手なの。両手を伸ばして抱っこをせがんだり、おやつちょうだいっておねだりしたり……そういえば、ラルフの家族はどんな人?」
「ぼくは一人っ子。両親は神殿都市でもそこそこ有名な人……かな?」

 ラルフはうーんと悩むようにうなってから、アシュリンに顔を向けた。