「目的地、ないんだよね。ただ世界を見て回るつもり」
「なら、それならさ……、わたしと一緒に旅をしませんかっ?」
自分の使い魔であるノワール、自分の物語をきざむ本と一緒に旅をしていたが、やっぱり自分と同じくらいの子が一緒だと心強い。そう考えてラルフを旅に誘ったが……反応がない。
おそるおそる彼の様子を見ると、ラルフは目を丸くしたまま動かず……どうしよう? とテーブルの上で丸くなっているノワールに視線を送ったが、ノワールはぺしんと尻尾でテーブルを叩くだけだった。
「良いのではないか? 別にどこかを目指しているわけでもないのだし」
「良いのかなぁ……? ねえ、アシュリン。ぼくと旅をするって、その本にぼくのこともたくさん刻まれるってことだよ。アシュリンの物語なのに」
「それはへーき! だって、出てくる登場人物がわたしとノワールだけって、さびしいじゃない?」
家族のことも書かれていたが、主な登場人物は自分とノワールだけで、本は最初の物語に出てくるだけだ。旅を始めて気付いたのだが、アシュリンは人と話すのが好きだ。ノワールとは生まれたときから一緒にいるし、本は本でしゃべりたいときにしゃべり続けるだけ。
会話になっているような、いないようなと考え込むくらい、アシュリンの本はおしゃべりだった。
「なら、それならさ……、わたしと一緒に旅をしませんかっ?」
自分の使い魔であるノワール、自分の物語をきざむ本と一緒に旅をしていたが、やっぱり自分と同じくらいの子が一緒だと心強い。そう考えてラルフを旅に誘ったが……反応がない。
おそるおそる彼の様子を見ると、ラルフは目を丸くしたまま動かず……どうしよう? とテーブルの上で丸くなっているノワールに視線を送ったが、ノワールはぺしんと尻尾でテーブルを叩くだけだった。
「良いのではないか? 別にどこかを目指しているわけでもないのだし」
「良いのかなぁ……? ねえ、アシュリン。ぼくと旅をするって、その本にぼくのこともたくさん刻まれるってことだよ。アシュリンの物語なのに」
「それはへーき! だって、出てくる登場人物がわたしとノワールだけって、さびしいじゃない?」
家族のことも書かれていたが、主な登場人物は自分とノワールだけで、本は最初の物語に出てくるだけだ。旅を始めて気付いたのだが、アシュリンは人と話すのが好きだ。ノワールとは生まれたときから一緒にいるし、本は本でしゃべりたいときにしゃべり続けるだけ。
会話になっているような、いないようなと考え込むくらい、アシュリンの本はおしゃべりだった。