くすりと笑って、くしゃりとアシュリンの頭を撫でるラルフに、彼女はそれもそうかと納得し、「遊んでくるね!」とブランコに駆けていった。

 それを追いかけるノワールと本。

 アシュリンたちを見送り、ラルフは小屋の中に入ってベッドに寝転んで目を閉じた。そばにはルプトゥムが丸くなっている。

 すやすやと眠りに落ちたラルフと、遊びにいったアシュリン。

 アシュリンが暮らしていた村は、こんなふうに遊べる場所がなく、旅を始めて世の中にはこんなにも遊ぶところがあるんだ! と両手を組んで歓喜した。

 休憩スペースは誰でも利用でき、アシュリンは最初に足を踏み入れた場所では一日中遊んで、ノワールと本を呆れさせたこともある。

 ――だが、そのときアシュリンと一緒にノワールもはしゃいでいたことを、本はきちんと記録していた。

 アシュリンとノワールが本を読み返したとき、『にゃぁあっ!』とノワールが恥ずかしさから叫んだことを思い出し、本はゆらりゆらりと()れる。

「わー、(すべ)り台、すっごく高い! 面白そう!」
「のぼるの大変そうにゃぁ」
「体力には自信があるよ! ノワール、肩に乗る?」
「そうするにゃ」

 ぴょんとアシュリンの肩に乗るノワール。使い魔の毛並みを楽しむように頬を寄せると、「にゃ」とすりすりと頬をすり合わせた。

 ふわふわの毛並みに表情がふにゃりと緩み、アシュリンはくすぐったそうに「ふふっ」と笑い声を上げる。

「よーし、まずは滑り台!」

 ビシッと自分の背の何倍もある滑り台を人差し指でさして、さっそく階段をのぼり始めた。