「あ、うちの使い魔がお世話になったようで。この子はルプトゥム。オオカミだよ」
「オオカミ! 犬じゃなかったのね!」
「こんなに美しい銀色の毛並みをしたオオカミを見て、犬と思っていたのか!?」

 ガーンという効果音がぴったりなほど、オオカミのルプトゥムが顎を落としそうなほど口を開ける。

「その子は?」
「わたしの使い魔、黒猫のノワールだよ。赤い首輪と金色の鈴がキュートでしょ?」
「うん、かわいいね」
「よくわかっているにゃぁー」

 ()められてノワールは満足そうに前足を舐めた。ぺろぺろと毛づくろいをしているのを眺めて、ほんわかと優しい気持ちになっていると、ハッとしたように顔を上げるアシュリン。

「あなたも旅をしているのよね! わたし、旅立ってからまだ一週間なの。一緒に旅をしない?」
「……ずいぶん急な誘いだね」
「だって、ノワールと本と一緒だけど、旅をしている人は初めて会ったもの! これもなにかの縁じゃないかなって思うの!」

 ぐっと両手を握って力説するアシュリンに、ラルフは目を丸くした。