「フェリシア様、お食事の前に我々の紹介をさせていただいてもよろしいでしょうか。」
「そうね。アラン様、私のメイドのマリーとオルタンスよ。」
オルタンスは初めて会ったが、マリーと同じ気配を感じる。おそらくマリーと同じような能力の持ち主だろう。マリウスの執務室で見たマリーは普通のメイドのように見えたが、こうして並んでみると普通のメイドには見えない。軍人のような殺気を纏っている。
「オルタンスさんもメイドと護衛をなさっているのですか?」
「我々はフェリシア様のメイド兼護衛として配属されました。ゼロ部隊の元隊員です。」
「ゼ……ゼロ部隊!?」
ゼロ部隊とは国王直属の隠密組織のことだ。誰が所属しているのかもわからないし、どんな活動をしているのかもわからない。ただそういう組織があるから覚えておけと入隊した日に隊長から聞いた。第1部隊とはまた違った意味で雲の上の存在だった。ゼロ部隊と言われればあのマリーの俊足もうなずける。
「我々は公爵邸へ配属された日に除隊していますが、内密にしてください。」
「……わかりました。」
ものすごい国家機密を知ってしまったような気分になって、アランはごくりと唾を飲み込んだ。
「アラン様、ゼロ部隊ってなんですの?マリーやオルタンスも知らなくて良いって言うし。お父様はメイドの集まりだと言うのよ?そんなはずないわ。部隊なんだからやっぱり……」
マリーとオルタンスから向けられる視線が痛い。フェリシアには言うなという圧力だ。確かにゼロ部隊のことをそのまま言ったらフェリシアは不安に思うだろう。しかし公爵の「メイドの集まり」というのは酷い。もっと他に言い方はなかったのだろうか。
「フェリシア様、私は騎士として配属されたばかりでしたから詳しいことは知らないんです。ですが、ゼロ部隊というのは重要人物を守る騎士の特別部隊だと聞いたことがあります。それはそれは強い騎士が集まる部隊で、そうですね……第1部隊なんかよりずっと強い騎士がいると噂で聞いたことがあります。」
「えぇっ!?じゃ、じゃあ……マリーとオルタンスは騎士様だったの!?」
アランはマリーとオルタンスの顔色をうかがいながら話を続けた。
「そういうことになります。ですからお2人はお強いのですよ。マリーさんが内密にと仰っていましたよね?そんなお強い方が近くにいるなんて知られてはいけないんですよ。フェリシア様、これは秘密です。誰にも言ってはいけませんよ。」
「わかりましたわ。そういうことでしたのね。マリー、オルタンス、いつもありがとう!」
毎日騎士と一緒にいたのだと知ったフェリシアは目を潤ませている。マリーとオルタンスの表情も穏やかでアランは胸を撫でおろした。
「そうね。アラン様、私のメイドのマリーとオルタンスよ。」
オルタンスは初めて会ったが、マリーと同じ気配を感じる。おそらくマリーと同じような能力の持ち主だろう。マリウスの執務室で見たマリーは普通のメイドのように見えたが、こうして並んでみると普通のメイドには見えない。軍人のような殺気を纏っている。
「オルタンスさんもメイドと護衛をなさっているのですか?」
「我々はフェリシア様のメイド兼護衛として配属されました。ゼロ部隊の元隊員です。」
「ゼ……ゼロ部隊!?」
ゼロ部隊とは国王直属の隠密組織のことだ。誰が所属しているのかもわからないし、どんな活動をしているのかもわからない。ただそういう組織があるから覚えておけと入隊した日に隊長から聞いた。第1部隊とはまた違った意味で雲の上の存在だった。ゼロ部隊と言われればあのマリーの俊足もうなずける。
「我々は公爵邸へ配属された日に除隊していますが、内密にしてください。」
「……わかりました。」
ものすごい国家機密を知ってしまったような気分になって、アランはごくりと唾を飲み込んだ。
「アラン様、ゼロ部隊ってなんですの?マリーやオルタンスも知らなくて良いって言うし。お父様はメイドの集まりだと言うのよ?そんなはずないわ。部隊なんだからやっぱり……」
マリーとオルタンスから向けられる視線が痛い。フェリシアには言うなという圧力だ。確かにゼロ部隊のことをそのまま言ったらフェリシアは不安に思うだろう。しかし公爵の「メイドの集まり」というのは酷い。もっと他に言い方はなかったのだろうか。
「フェリシア様、私は騎士として配属されたばかりでしたから詳しいことは知らないんです。ですが、ゼロ部隊というのは重要人物を守る騎士の特別部隊だと聞いたことがあります。それはそれは強い騎士が集まる部隊で、そうですね……第1部隊なんかよりずっと強い騎士がいると噂で聞いたことがあります。」
「えぇっ!?じゃ、じゃあ……マリーとオルタンスは騎士様だったの!?」
アランはマリーとオルタンスの顔色をうかがいながら話を続けた。
「そういうことになります。ですからお2人はお強いのですよ。マリーさんが内密にと仰っていましたよね?そんなお強い方が近くにいるなんて知られてはいけないんですよ。フェリシア様、これは秘密です。誰にも言ってはいけませんよ。」
「わかりましたわ。そういうことでしたのね。マリー、オルタンス、いつもありがとう!」
毎日騎士と一緒にいたのだと知ったフェリシアは目を潤ませている。マリーとオルタンスの表情も穏やかでアランは胸を撫でおろした。