「お父様……許さないわ……私のアラン様を……!」

 フェリシアの体から炎が出ているようだ。ソフィアは目を細めた。

「フェリシア、落ち着いて……」
「お母様!どうして止めてくださらなかったの!?アラン様は私の護衛なのよ!?」
「ごめんね、フェリシア。すぐ終わると思うから……」

 これからずっとアランと一緒にいられると思っていたフェリシアは、父にアランを取り上げられて怒り心頭だった。

「フェリシア、アラン様はいつまでいらっしゃるの?」
「決まっていないと仰っていたわ。護衛を外されるまで護衛をしてくださるの。絶対辞めさせないわ……!アラン様は永遠に私の護衛よ……ふふふ。」
「フェリシア、アラン様と一緒にいたいなら、護衛ではない方法もあるわよ?」
「どういうこと?」

 ソフィアはフェリシアにヒソヒソと囁いた。フェリシアの大きな瞳が見開かれて、うるうると揺れている。

「それは……」
「そのためには、お父様とちゃんと話をしてもらわないといけないわ。だから今日は少し我慢してちょうだい。」
「そういうことなら……仕方ないわね……」

 纏っていた炎が落ち着いたフェリシアは静かに自室へ戻って行った。