高貴な身分にあった公爵令息の面影が様変わりしてしまい、レオナルドに戦場帰りのような異様な落ち着きがあるのは、そのせいなのだ。

「そうだね。だから、怖がりで動けなかったリンゼイと、相性は絶対に良いはずなんだ。レオは自分の感情を抑えきれない時があるけど、君に合わせようと思えばきっと出来るはずだからね」

「……その、ジョヴァンニ先輩」

「何?」

「どうして、レオナルド先輩が私のことを好きだと、そうして断言が出来るんですか?」

 私はさっきレオナルドが不機嫌そうに去ってしまった時も、なんだか嫌われてしまったかもと思ったくらいで、もしかしたら好きだからやきもちをやいてどうこうなんて、思いもしなかった。

「さあね……なんでだろうね」

 重要な質問なのに四角い盆を持って立ち上がり、さらっと質問を躱したジョヴァンニは何もわかっていない私に説明しても仕方がないと思って居るのか、そう思った根拠を教えてくれることはなかった。