「私の人生終わった(ゲームオーバー、バッドエンド)」

「ふみ、大丈夫やった?」

「最低最悪、生きて帰れる気がしない、どんな顔して会えばいいんだろう。まずは“申し訳ありませんでした”で、謝ればいいの?ううん。謝って機嫌直る人じゃないし」

「おーい、ふみ聞こえてる?」


彗が迎えに来ることが100%確定した今、“家に着くまで、会話を避けること”がミッションとして追加された。

と、不安と共に、彼からぶつけられた言葉が、ころんと胸に落ちてきた。


———これだから、子どものお守りは面倒なんだよ

———ふみさんは何も知らないお子様だからな


あの瞬間、私にだけ向けられた熱を持たない視線が、今も忘れられない。

私は守ってもらうような子どもじゃない。
彗にだけは、子ども扱いなんかしてほしくなかったのに。


「とことん飲んでやる…」


グラス半分残った、甘いはちみつレモンを、喉に流し込んだ。


「周子、何かあったの?…って、久世さんそんなに飲んで大丈夫!?」

「あかんわ。全然聞こえてない」


奏太くんの心配する声と、周子ちゃんの柔らかい声が遠くに聞こえる。

私は倒れるように深い眠りへ落ちていったのだ。