不意打ちを食らいました。

一瞬、なにをどう伝えられたのかわからなくなり目をぱちぱちさせた。「ん"っ」と結んだ唇を解き胸の真ん中に掌を当てる。


「(カワイイ!?kawaii……!?)」

ふみ。かわいい……?


彼がくれた四文字は、愛おしさの“キュン”を軽く飛び越えた。心臓が爆発しそうです。
動揺のあまり、左手に握ったスマホで打ち込んだ文字は、知らぬ間に弟へ送信されていて。

《ふみかわいいらしいです😵‍💫》
《は?ねーちゃん、どしたの?》

わわ…っ!源にヘンテコなメッセージ送っちゃった。

《なんかあった?》
《なにもございませぬ、ん》
《りょ。じゃ、オレ寝るから😴おやすみ》

即終了。


「かっ……わいくないです」

「俺が可愛いって言ってるから、可愛いですよ」


また、平然と言ってのけた。

息をするように掬う言葉は、甘さで蕩けたこころを攫ってく。

その、お砂糖まみれな声に目頭がじわりと熱を帯びるの。涙が溜まっていくような…鼻先もツンといたい。

「わかっ、りました」ほんの少し、高い目線にいる彗を見上げて伝えた。彼は、大人びた余裕の笑みを口元へ湛える。

瞬間、炭酸が弾けるように、気恥ずかしさが胸の内から溢れた。ころん、と心がビー玉のように転がる。


「次はどれにします?」

「彗も一緒に食べませんか」

「俺はいいです。そう言う気分じゃないんで」

「(どう言う気分なんだろう)」


簡単に崩れた私は、ふたつめのスコーンを口に含む。