「ラローシャ様。オークたちは無謀にも正面から一気に攻めてくるようです。一体何を考えているんだか」
「女がまとめる騎士団だからと侮っているようだな。全く愚かな化け物よ。マルクス。せっかく相手が正面から来てくださっているんだ。こちらも相手してやらねばな!」
「承知!」
「このラローシャを見くびるとは、死ぬ覚悟はできているんだろうなぁ!! 皆のもの! 準備はいいか!」
私の号令とともに、後ろにいた部下たちは雄叫びをあげる。私は鞘から剣を抜いた。
「全てはユーストリー国安泰ために! かかれぇ!」
私の率いるダニタルス騎士団は敵を次々と斬り倒していく。
私は雄叫びを上げながら、ふとあいつの言葉を思い出した。
「ラローシャ。君には僕が必要ないみたいだ。すまないが、君との婚約はなかったことにしてほしい」
突撃してきたオークをさらりと避けて、斬り込みをいれる。私の顔や鎧はオークの返り血で真っ赤に染まっていた。
全く、勝手な男だ。
他の女と婚約したいのなら、そう言えばいいじゃないか。
幼い頃に両親が勝手に決めた婚約だ。
好きにするがいい。
この私に、色恋など必要ない。
私には、この血生臭い戦場が似合っている。