「あなた達……どうしてこんなことするの?」

彼女達を睨み付けた。彼女達も負けじと私を睨んでいて、その睨みに少し怖気《おじけ》づく。

「うざいんだよ。あんた高園先輩達に私達のことチクったでしょ?」
「あんたのせいで私達も停学になったの」
「賭けは負けるし停学はくらうし、こうなったのは全部あんたのせい」

 チクったって何よ……私は先輩達に話を聞いてもらっただけ。私のせいって、賭け事をする方が悪いじゃない。

「目障りなんだよねー。ちまちまと花なんかいじっちゃってさぁ。あんたって根暗ちゃん?」
「根暗ちゃん! その名前ウケるー」
「地味で根暗のブスなくせに。あんたみたいな奴がテストで2位ってムカつく。生徒会にまで取り入って」
「でも根暗のブスは木村先輩達も相手にしないよねぇ」
「だからさぁ、根暗ちゃん、私達の前から消えてくれない?」

巻き髪にショートヘアーに黒髪ロング……三人が口々に好き勝手に言いたい放題。

 そりゃあ私は社交的ではない。運動オンチで取り柄は勉強しかない。顔は自分でも可愛くないのはわかってるから言わないで欲しい。木村先輩に相手にされないのもわかってる。だけど……。

 ──自分を守れるのは自分だけ。

生徒会室で木村先輩が言ってくれた言葉を思い出した。拳を握り締めて思い切り息を吸うと、その勢いで心の言葉を吐き出した。

「いい加減にしてよ! 私が何したって言うの? 私は勉強を頑張っただけ。あんた達が勝手に賭けをして勝手に負けたんでしょ? 停学になったのもあんた達が悪いことしたからじゃない。私のせいにして逆恨みして八つ当たりしないでよっ!」

私に言い返されると思っていなかった三人は唖然としていた。言い返した私も大きな声を出して息が上がっている。

「な、なによコイツ……!」
「ムカつくっ!」

 ショートヘアーの子がバケツを振り上げて私にぶつけようとした。とっさにしゃがみこんで手で頭を覆う。