学校帰りに立ち寄った午後1時の渋谷はいつも人が多く賑やかだ。美月と比奈は渋谷で二人のお気に入りのハンバーガーショップでランチタイムを迎えた。
「それでまだ木村さんに告白の返事してないの?」
比奈がフライドポテトを二本まとめて口に入れる。本日のお題は美月に告白した木村隼人のこと。
テリヤキバーガーを頬張る美月は頷いた。
「美月のお母さんは木村さんが美月のことが好きだと気付いたんだね。それで美月を木村さんに預けて帰るって、相変わらずお母さんぶっ飛んでて面白い」
「笑い事じゃないよぅ。家に帰ったらお母さんニヤニヤしてたんだよっ。得体の知れない男に娘任せて置いて帰るなんてー!」
頬を膨らませて食事を続ける美月を見て比奈は苦笑いした。
「得体の知れないってことはなくない? 同じ屋根の下で過ごした仲なんだし」
「変な風に言うなぁ! 木村さんはただの宿泊客っ!」
「ごめんごめん。美月のお母さんも木村さんだから美月を任せたんだよ。それに美月、少しずつ元気になってきたように思うよ。木村さんのおかげじゃない? ほらほら、ポテトあげるから機嫌直して」
「長いのちょうだい! 二本!」
比奈はリクエスト通り二本の長いフライドポテトを美月の口に運んだ。比奈に貰ったポテトを咀嚼して美月は溜息をつく。
「私どうすればいいの……」
「自分の気持ちに素直になれば?」
「素直にって……」
「木村さんのこと嫌いじゃないでしょ?」
「それは……好きか嫌いなら嫌いじゃない……かな」
美月は歯切れの悪さを隠すように、グラスに入るアイスティーの氷をストローで突く。
「サッカーしてるとこ見て、ドキドキしちゃったんでしょ?」
「……うん」
「じゃあ美月の答えは決まってるね」
「うう……。そうすると私って超切り替えの早い女じゃない?」
美月はテーブルに顔を伏せた。自己嫌悪で心は苦しく、頭はパンクしそうだ。
「それもアリだと思うよ。佐藤さんのことはまだ忘れることできないのよね?」
「あんな別れ方しちゃうとやっぱり……。サヨナラも言えないままだったから」
顔を伏せたまま携帯を操作して画像フォルダを開く。あの夢の日々の一時、海で佐藤と撮った写真が画面に映る。
「それでまだ木村さんに告白の返事してないの?」
比奈がフライドポテトを二本まとめて口に入れる。本日のお題は美月に告白した木村隼人のこと。
テリヤキバーガーを頬張る美月は頷いた。
「美月のお母さんは木村さんが美月のことが好きだと気付いたんだね。それで美月を木村さんに預けて帰るって、相変わらずお母さんぶっ飛んでて面白い」
「笑い事じゃないよぅ。家に帰ったらお母さんニヤニヤしてたんだよっ。得体の知れない男に娘任せて置いて帰るなんてー!」
頬を膨らませて食事を続ける美月を見て比奈は苦笑いした。
「得体の知れないってことはなくない? 同じ屋根の下で過ごした仲なんだし」
「変な風に言うなぁ! 木村さんはただの宿泊客っ!」
「ごめんごめん。美月のお母さんも木村さんだから美月を任せたんだよ。それに美月、少しずつ元気になってきたように思うよ。木村さんのおかげじゃない? ほらほら、ポテトあげるから機嫌直して」
「長いのちょうだい! 二本!」
比奈はリクエスト通り二本の長いフライドポテトを美月の口に運んだ。比奈に貰ったポテトを咀嚼して美月は溜息をつく。
「私どうすればいいの……」
「自分の気持ちに素直になれば?」
「素直にって……」
「木村さんのこと嫌いじゃないでしょ?」
「それは……好きか嫌いなら嫌いじゃない……かな」
美月は歯切れの悪さを隠すように、グラスに入るアイスティーの氷をストローで突く。
「サッカーしてるとこ見て、ドキドキしちゃったんでしょ?」
「……うん」
「じゃあ美月の答えは決まってるね」
「うう……。そうすると私って超切り替えの早い女じゃない?」
美月はテーブルに顔を伏せた。自己嫌悪で心は苦しく、頭はパンクしそうだ。
「それもアリだと思うよ。佐藤さんのことはまだ忘れることできないのよね?」
「あんな別れ方しちゃうとやっぱり……。サヨナラも言えないままだったから」
顔を伏せたまま携帯を操作して画像フォルダを開く。あの夢の日々の一時、海で佐藤と撮った写真が画面に映る。