『お嬢さん、暑いでしょう。冷たい飲み物はいかがかな?』
隼人が筒井先生と呼んでいた男が紙コップに注いだ冷えた麦茶を美月に渡した。
「ありがとうございます」
『私は木村の中学の時の担任でね。サッカー部の顧問をしている筒井《ツツイ》と言います』
筒井教諭は美月の隣に腰かけて自分の手に持つ紙コップの麦茶を飲む。美月も麦茶を頂戴した。
「中学生の時の木村さんはどんな感じだったんですか?」
『ヤンチャな悪ガキだったよ。ああ、それは今も変わらないね』
「ふふっ。そうですね」
筒井の言葉に美月も笑って肯定する。
『それでも何故かリーダーシップと人望はあってね。木村は小生意気なことばかり言って教師の手を焼かせるガキ大将のくせに、生徒会長や班長に担ぎ上げられて人前に出てよく場を仕切っていた。サッカー部の練習も真面目に出ていた。俺はいつかJリーグに行くんだって宣言していたなぁ。でも木村は高校でサッカーを辞めてしまったんだ』
美月は筒井教諭の話に聞き入っていた。
「どうして木村さんはサッカーを辞めてしまったんですか?」
『私も本当のところはわからんが、自分はプロにはなれないと思ったんだろうね。木村は周りからは完璧だとか言われていても、実はそうではないと私は思うんだよ。あいつはサッカーも勉強も人一倍努力する奴だった。だけど努力しているところを人には見せない。木村はそういう奴なんだよ』
ボールを操る隼人が視界に入る。隼人は綺麗な足さばきでリフティング技を披露していた。
『木村はお嬢さんのことをどう思っているのかねぇ』
「どうって?」
『さっきもうちのマネージャーが言っていたでしょう。木村がここに女を連れて来ることはなかったって。あいつはここに女を連れて来るのを嫌がっていた。例外は木村の幼なじみの卒業生の女の子だけだ。だから、あいつがここにお嬢さんを連れて来たことには何かしらの意味があるんだよ』
「はぁ……」
(そう言われても私だってどうして連れて来られたのかわかんないよ)
隼人が筒井先生と呼んでいた男が紙コップに注いだ冷えた麦茶を美月に渡した。
「ありがとうございます」
『私は木村の中学の時の担任でね。サッカー部の顧問をしている筒井《ツツイ》と言います』
筒井教諭は美月の隣に腰かけて自分の手に持つ紙コップの麦茶を飲む。美月も麦茶を頂戴した。
「中学生の時の木村さんはどんな感じだったんですか?」
『ヤンチャな悪ガキだったよ。ああ、それは今も変わらないね』
「ふふっ。そうですね」
筒井の言葉に美月も笑って肯定する。
『それでも何故かリーダーシップと人望はあってね。木村は小生意気なことばかり言って教師の手を焼かせるガキ大将のくせに、生徒会長や班長に担ぎ上げられて人前に出てよく場を仕切っていた。サッカー部の練習も真面目に出ていた。俺はいつかJリーグに行くんだって宣言していたなぁ。でも木村は高校でサッカーを辞めてしまったんだ』
美月は筒井教諭の話に聞き入っていた。
「どうして木村さんはサッカーを辞めてしまったんですか?」
『私も本当のところはわからんが、自分はプロにはなれないと思ったんだろうね。木村は周りからは完璧だとか言われていても、実はそうではないと私は思うんだよ。あいつはサッカーも勉強も人一倍努力する奴だった。だけど努力しているところを人には見せない。木村はそういう奴なんだよ』
ボールを操る隼人が視界に入る。隼人は綺麗な足さばきでリフティング技を披露していた。
『木村はお嬢さんのことをどう思っているのかねぇ』
「どうって?」
『さっきもうちのマネージャーが言っていたでしょう。木村がここに女を連れて来ることはなかったって。あいつはここに女を連れて来るのを嫌がっていた。例外は木村の幼なじみの卒業生の女の子だけだ。だから、あいつがここにお嬢さんを連れて来たことには何かしらの意味があるんだよ』
「はぁ……」
(そう言われても私だってどうして連れて来られたのかわかんないよ)