(な、なに…っ!?なにか落ちてる?)


 商品だなに手を当てたままでは、床に落ちていたなにかをまた()ってしまう。

 乃花(のか)は渋々、商品だなから離れて、今までよりもゆっくり、ゆっくり歩いていった。

 7歩ほど歩いたとき、乃花(のか)はまたドンッと、つま先から顔まで、なにかにぶつかる。




「わっ」


「って…」


「ひっ!?」




 すぐ目の前から男の子の声がしたことにおどろいて、乃花(のか)は悲鳴をあげた。

 しかし、ハッと気を取り直す。

(人がいた!)




「ご、ごめんなさいっ。あの、私、お母さんとはぐれちゃって…!」


「…俺も、兄ちゃんとはぐれた」


「そ、そうなんだ…あの、一緒にいてもいいかな…?」


「いいけど。俺も状況が分かるわけじゃないぞ」


「そ、それでもっ、1人だと、怖い、から…」