(もう、あんなところへは行きたくない…でも、蕗咲(ろさ)ちゃんや、他の子たちは…)

 1人で寝ることができなくなった乃花(のか)は、夜、母に抱きついてベッドに入りながら、人形になった子どもたちのことを考えた。

 電気を消した部屋の中で目を開けると、母のうしろに、こちらを見つめるピカピカうさぎの顔が見えた気がして、乃花(のか)は目を見開く。




「キャァァァッ!」


乃花(のか)っ?どうしたの!?」




 ――いっしょに あそぼう


 乃花(のか)の頭の中にひびく声など聞こえるはずもない母は、あわてて部屋の電気をつけ、「乃花(のか)乃花(のか)!?」と体をゆさぶって呼びかけた。