「お姉ちゃん…!」


「いやっ、やだっ、人形になりたくないっ!!」




 永亜(とあ)來璃(らる)の二の腕をつかんで、充分に開いたガラス扉の向こうへ引っぱった。

 那成(ななる)はまっすぐピカピカうさぎのもとへ走り寄ると、激しく足を動かす乃花(のか)の下で、ドンッとピカピカうさぎに体当たりする。

 ピカピカうさぎの手から離れた乃花(のか)の体は、身を引いた那成(ななる)の腕の中へと落ちていった。




「やだっ、やだっ…!」


「大丈夫だよ、乃花(のか)ちゃん…っ!」




那成(ななる)、さん…っ?)

 どうなったのかも分からず、ジタバタと暴れていた乃花(のか)は、今乃花(のか)に触れているのが那成(ななる)だと気づくと、涙を流しながら那成(ななる)にしがみつく。

 那成(ななる)乃花(のか)をお姫さま抱っこしながら、泣きそうな顔でぬいぐるみを抱きしめている來璃(らる)のもとへ走った。