那成(ななる)さん…大丈夫、大丈夫…!)

 乃花(のか)はすがるように那成(ななる)の手をにぎり返しながら、物音を立てないよう、じっとピカピカうさぎが通り過ぎるのを待った。

 那成(ななる)“たち”が以前作ったお米の壁によって、乃花(のか)たちに気づくことなく通り過ぎたピカピカうさぎは、そのまままっすぐ歩いていく。


 永亜(とあ)はお米の壁から少し顔を出して、ピカピカうさぎのうしろ姿をじっと見つめた。




「…()がった」




 3つ奥の商品だなの向こうへ姿を消したピカピカうさぎを見ると、永亜(とあ)はそうささやいて立ち上がる。

 乃花(のか)も、那成(ななる)がふたたび來璃(らる)をおんぶできるように手を離して、ゆっくり立ち上がった。

 那成(ななる)來璃(らる)を含めた全員が立ち上がると、永亜(とあ)はお米の壁の横を通り過ぎて、一度見に行った左側の入り口へ走って向かう。