永亜(とあ)懐中電灯(かいちゅうでんとう)の先を床につけたのを見て、乃花(のか)も懐中電灯を伏せると、お米の壁の向こうにはぼんやりとした明かりがあった。

 乃花(のか)はゴクリとつばを飲んで、ふるえる手をにぎりこむ。

(近くに、ピカピカうさぎがいるんだ…!)


 全員で息を殺して待つと、左側からもれるその光は、だんだん明るさを増していき…。

 お米の壁の向こうに、右側を向いているピカピカうさぎの頭が見えた。




「っ…!」




 乃花(のか)はじわっと、目に涙を浮かべながら、必死に(くちびる)を引き結ぶ。

 ブルブルとふるえている乃花(のか)の手に、そっと、那成(ななる)が手を重ねた。

 乃花(のか)がパッと、となりの那成(ななる)を見ると、那成(ななる)は少しほほえんで、乃花(のか)の手を強くにぎる。