永亜(とあ)が持つ懐中電灯に照らされた先には、倒れた人形の姿が見えた。

(人形…ピカピカうさぎに捕まったら、私も蕗咲(ろさ)ちゃんみたいに…)




「行くぞ」




 永亜(とあ)は扉を大きく開けて、最初にバックヤードの外へ出る。

 その次に、來璃(らる)をおんぶした那成(ななる)が出ていき、乃花(のか)もバックヤードを出ようとした。

 しかし。




「あ、あれ…?」


乃花(のか)ちゃん?」




 乃花(のか)はバックヤードの外に踏み出せず、眉を下げた。

(足が動かない…!?な、なんで…っ)

 いくら足を見つめても、乃花(のか)の足はふるえるばかりで、前に動こうとしない。


 振り返った永亜(とあ)は、乃花(のか)の様子を見ると、乃花(のか)の前に手を差し出した。