乃花がかがんで、來璃と目線を合わせながら笑うと、來璃は「うん」とほほえんだ。
乃花たちが残ったジュースを、永亜が新しく取り出したスポーツドリンクを飲んで時間を置いたあと…4人は扉の外の様子をうかがった。
「大丈夫、あの着ぐるみはいないよ」
「それじゃ、行くか」
「う、うん…」
「來璃、おいで。おんぶしてあげる」
「…うん」
「乃花ちゃん、この懐中電灯持っててくれるかな?僕は手がふさがっちゃうから」
「あ、はい…っ」
那成がしゃがんで、その背中に抱きついた來璃を持ち上げる間、乃花は胸の前で、渡された懐中電灯をにぎりしめた。
(帰れる…でも、この外って、ピカピカうさぎがいるんだよね…?安全なのは、ここだけ…)
乃花はゴクリとつばを飲んで、少しだけ開かれた銀色の扉を見る。