「…るーちゃんたち、帰れるの?」




(帰れる?元の世界に?)

 乃花(のか)は目を丸くして、胸を押さえた。




「そうだよ、來璃(らる)。僕たち、家に帰れるんだ。…永亜(とあ)くん、ありがとう。危ないのに、1人で見に行ってきてくれて」


「俺がやりたいことをやっただけだ。…あいつが俺を追ってきたかもしれないから、少し待ってから入り口に行こう」


「分かった」




 男子2人の会話を聞きながら、乃花(のか)は視線を落とす。

(本当に、帰れるんだ…!よかった、よかったぁ…っ!)

 乃花(のか)はギュッと目をつぶって、泣きそうになるのをこらえた。


 そんな乃花(のか)の手を、來璃(らる)がキュッとにぎる。




「お姉ちゃん」


來璃(らる)ちゃん…私たち、帰れるんだって。よかったね…!」