永亜はうなずいて、ちらりとうしろを見た。
(この感じ…兄ちゃんたちには、こっちのスーパーが見えてないみたいだな)
永亜はまだ半分、裏スーパーの中にいる。
それでも兄たちがなにも言わないところを見ると、彼らは真っ暗な裏スーパーの存在に気づいていないようだ。
永亜は片手を上げて、ゾロゾロと移動する兄たちを見送ると、息を吐きながら現実のスーパーに背中を向けた。
(土谷たちに、伝えに行こう)
もう一度開けやすいようにすきまを残しつつ、ガラス扉を閉めて懐中電灯をかまえ直したあと、永亜は店内に続く2枚目の自動ドアを通り抜ける。
――すると、右側から色あせたピンク色の手が伸びてきて、永亜の肩をガシッとつかんだ。
「なっ!?」