裏スーパーの中から永亜が声をかけると、5歩先でキョロキョロと顔を動かしている中学生たちは、なにも聞こえなかったかのように様子が変わらない。
(ここからじゃ、聞こえないのか…?)
永亜は明るい店内の床へと一歩踏み出してから、もう一度声をかけた。
「兄ちゃん!」
「ん?永亜!お前、どこに行ってたんだよ!懐中電灯なんて持って…」
ようやく永亜に顔を向けた兄は、友だちを連れて永亜のもとへ駆け寄る。
「ちょっと、いろいろあって…まだやらなきゃいけないことがあるから、もう少しだけ待っててくれ」
「やらなきゃいけないこと?まぁいいけど、俺らパンのとこにいるから早く来いよ。遅かったら置いて帰るからな」
「分かってる」