永亜(とあ)が息を殺して待つと、その明かりはだんだんと明るさを増していって、入り口側の商品だなの向こうからピカピカうさぎが現れる。

 ピカピカうさぎは永亜(とあ)に気づく様子もなく、そのまままっすぐ、お店の奥へと歩いていった。

(よし、これであいつの位置が分かったな。今のうちに、入り口に近づくか)


 永亜(とあ)は懐中電灯のスイッチをオンにすると、先を照らして、小走りでスーパーの入り口があるほうへと向かう。

 商品だなの間から抜け出し、レジの前に出て、より近い左の入り口に走り寄ると、ガラス扉の向こうは黒くぬりつぶされたように真っ黒だった。

(ここからじゃ帰れないか…?)



 永亜(とあ)は顔をくもらせて、自動ドアの前に立つ。

 が、目の前のガラス扉は開きそうにもなかった。

 永亜(とあ)が片手でガラス扉に触れて、横に動かそうと力をこめると、少しだけ扉が開く。