バックヤードを出た永亜は、懐中電灯をあたりに向けて、ゴクリとつばを飲んだ。
一直線に伸びるライトに照らされた店内には、パッと見るだけでも人形が5、6体転がっている。
(あれが全部、もともと生きてる人間だったってのか…)
永亜は眉根を寄せると、目の前にある商品だなの奥にピカピカうさぎがいないことを確認してから歩き出した。
床に座りこんだり、倒れたりしている人形を蹴らないように気をつけながら、永亜は乾麺がならぶ商品だなの間を静かに進んでいく。
たながとぎれる場所まで来ると、永亜は一度懐中電灯のスイッチをオフにして、商品だなに背中をつけながら、少しだけ顔を出した。
左に、ピカピカうさぎの姿はない。
右は…と顔を動かすと、横にならぶ商品だなの3つ奥に、ぼんやりとした明かりが見えた。