扉が閉まって永亜(とあ)の姿が見えなくなると、乃花(のか)は胸の前で両手をにぎる。

(瀬戸川くん…本当に大丈夫かな…?)




乃花(のか)ちゃん、永亜(とあ)くんとは仲がいいの?」


「え…あ、いえ。その、ここに来るまでは苦手でした…」


「そうなんだ。苦手な子だったのに、心配に思うなんて、乃花(のか)ちゃんはやさしい子だね」


「い、いえっ。そんなことはないです…っ!」


「ふふっ…乃花(のか)ちゃん、こっちにおいで。一緒に座って待ってよう」




 來璃(らる)の背中に手をそえて、バックヤードの奥へと移動する那成(ななる)を見て、乃花(のか)はうなずいてから歩き出した。

 突き当たりの壁を背にして座ると、那成(ななる)は懐中電灯を床に置いて、近くに散乱している段ボール箱からペットボトルのジュースを取り出す。