懐中電灯でバックヤードを照らす永亜(とあ)につられて、乃花(のか)も周りを見る。

 那成(ななる)は「あるよ。そのまま照らしてて」と言って、來璃(らる)を離し、バックヤードの奥にある段ボール箱へ近づいた。

 ゴソゴソと段ボール箱の中をあさった那成(ななる)は、永亜(とあ)が持っているのと同じ懐中電灯に電池を入れて、カチッとライトをつけてみせる。




「これで大丈夫」


「みたいだな。じゃあ行ってくる」


「あ、せ、瀬戸川(せとがわ)くん、気をつけて…!」




 永亜(とあ)乃花(のか)の目を見ると、うなずいて「あぁ」と答えた。

 入り口近くへ戻ってきた那成(ななる)と、そのそばに寄った來璃(らる)乃花(のか)が見つめる先で、永亜(とあ)は懐中電灯をかまえてそっと銀色の扉を開ける。

 近くにピカピカうさぎがいないことを確認した永亜(とあ)は、振り返らず、バックヤードの外へと歩き出した。