「ずっと前からあるうわさらしいんだけどね。1週間前にも小学生が何人かいなくなったって、警察(けいさつ)が来たらしいわ」


「え…で、でも、見つかったんだよね…?」




 体をちぢこめるように、両手を胸の前でにぎりながら、乃花(のか)はビクビクと母を見る。

 怖い話が苦手な乃花(のか)にとっては、そのうわさはトイレの花子さんと同じレベルの怪談だった。

 無事に解決したと耳にしなければ、今後スーパーに行ってきてと言われても、とても行けそうにない。




「それが、まだ見つからないらしいのよ。ここは防犯カメラも多いのに、子どもが移動する姿がどこにも映ってないんですって」


「えぇ…!?」


「まるで神隠しだって、大さわぎ。そんなオカルト話あるわけないのにねぇ」


「ど、どうして教えてくれなかったの…っ!?知ってたら、一緒に来なかったのに!」