「じゃあ、入り口まで行ってくる。懐中電灯(かいちゅうでんとう)、貸してくれ」


「えっ?で、でも、危ないよ…っ!ここの外にはピカピカうさぎがいるのに…!」


土谷(つちや)も来いとは言ってないだろ。怖いならここで待ってろ。帰れそうな場所を見つけたら戻ってくるから」


「でも…!」


「…それなら、僕も行く。ここにいる時間は長いから」


「えっ…!?」


「お兄ちゃん…」




 那成(ななる)は自身を見上げる來璃(らる)の頭をなでて、背中に回された來璃(らる)の腕をそっとはがす。

 けれど、來璃(らる)はすぐにまた、那成(ななる)へ抱きついた。

 乃花(のか)も不安な表情を浮かべながら永亜(とあ)を見る。


 永亜(とあ)は全員の様子を見回すと、那成(ななる)の手から懐中電灯をうばった。