広い空間のどこへ向かっていけばいいのか、目的地を探していた乃花(のか)たちは、男の子の言葉を聞いて、順番に足を止めた。

 ぜぇっ、はぁっ、とみんなが息を切らす音がバックヤードにひびく。


(あのピカピカうさぎはなんなの…っ?それに、この男の子は…)

 乃花(のか)は肩を上下に動かしながら、扉の前に立っている男の子を振り返った。

 そんな乃花(のか)の視界を横切って、男の子に()け寄る人物が1人。




「お兄ちゃん…!」




 來璃(らる)はくまのぬいぐるみを片手に持って、男の子のお腹に抱きついた。




來璃(らる)!無事でよかった…」




 來璃(らる)を抱きしめ返して、くしゃっと、泣きそうな笑みを浮かべた男の子を見て、乃花(のか)は目を丸くする。

來璃(らる)ちゃんの、お兄ちゃん?)

 男の子は、來璃(らる)をギュッと抱きしめると、乃花(のか)たちに目を向けた。