「あ…、う、うんっ…」




 乃花(のか)は小さくうなずいて、目の前にせまるピカピカうさぎを見てから、うしろへ走り出す永亜(とあ)に続く。

 先を走っている來璃(らる)の前で、懐中電灯(かいちゅうでんとう)を持った男の子はスーパーの奥へ奥へと走っていった。

 先頭の光を追って乃花(のか)たちが走ると、男の子は“スタッフ専用”と書かれた銀色の扉を押して「こっちだよ!」とさけぶ。


(あそこは…っ?あと、少し…っ!)

 來璃(らる)がバックヤードに入り、少し遅れて永亜(とあ)がバックヤードに入ると、乃花(のか)もバクバクとさわぐ心臓の音を聞きながら、バックヤードに逃げこんだ。

 乃花(のか)の背中を押してその手助けをした男の子は、最後にバックヤードへ入って扉を閉める。




「よし…もう大丈夫、あいつはこっちに入ってこないから」