乃花(のか)はフルフルと首を横に振りながら、ふるえる手を両手でにぎりこんだ。

 蕗咲(ろさ)の顔に当たる光が移動したのを見て視線を上げると、ピカピカうさぎが不気味な顔をしたまま乃花(のか)のほうへ近づいてくる。




「あ…あ…っ」




 一歩、二歩、三歩。

 ふるえたまま動けずに、ただ近づいてくるピカピカうさぎを見つめていた乃花(のか)の二の腕を、永亜(とあ)がうしろからガシッとつかんだ。




「逃げるぞ、土谷!」