「危ない!そいつに近づかないで!」


「えっ…?」




 乃花(のか)が思わず振り向くと、永亜(とあ)來璃(らる)のさらにうしろに、懐中電灯(かいちゅうでんとう)を持った男の子が立っていた。




「わっ!」




 蕗咲(ろさ)のおどろく声が聞こえて、前に視線を戻した乃花(のか)は、ピカピカうさぎに抱き上げられた蕗咲(ろさ)の姿を目撃する。

(近づかないでって…あのピカピカうさぎに?)

 とつぜん現れた男の子の言葉に、どう動けばいいのか乃花(のか)がとまどっていると。




『いっしょに あそぼう』




 ピカピカうさぎが高い声を発した。


 ――そして、蕗咲(ろさ)の姿が一瞬で変わってしまう。

 ぐでっと、力が抜けたようにかしげられた頭から垂れ下がるはずの髪は、固められたように、頭からまっすぐ伸びたまま。

 カランッと音を立てて体にぶつかった腕や足には、ひじやひざの部分に、ピノキオのようなつなぎ目ができていた。