2人は足早に明かりのほうを目指した。
商品だなにはさまれた通路を抜け出すと、その明かりの正体が冷蔵コーナーの商品だなだと分かる。
かすかな、けれど暗闇の中では十分な明かりの前に2人の女の子がいるのを見つけて、乃花は目を丸くした。
「あ、まだ人がいた!」
「…」
肩につくかつかないか、という髪を一束とって、頭の横、高いところで結んでいる女の子は、遠くから聞こえた声の主のようだった。
そのとなりの、彼女よりも背が低い女の子は、両手でくまのぬいぐるみを抱きしめて、じっと乃花たちのほうを見る。
「…子どもだけ、か」
ぽつりとつぶやいた男の子の顔を見た乃花は、目を見開きながら、パッと手を離した。
「せ、瀬戸川、くん…」
名前を呼ばれた永亜は、ちらりと乃花を見ると、なにも言わず2人の女の子に近づいた。