瀬戸川(せとがわ)永亜(とあ)は、中学生の不良とよく一緒にいるとうわさの、クールな男の子だ。

 クラスではいつも1人で、毎回テストで100点をとる頭のいい男の子ではあるものの、乃花(のか)はぶっきらぼうな態度を苦手に思っている。

(でも、一緒にいてくれる分、瀬戸川くんよりやさしいな)


 ぶっきらぼうなしゃべり方で永亜(とあ)を思い出したものの、乃花(のか)は目の前の男の子を苦手に思うことなく、あたりに視線を向けた。

 前を歩く男の子が横にそれたかと思うと、通路の真ん中に大きな人形が転がっているのが見える。




「わっ…な、なんでこんなところに人形が…?」


「さぁな」




 手足が曲がっている様子を見ると、その人形はピノキオのように、関節が動く造りのようだ。

 眉を下げて、男の子の手をにぎる手にキュッと力をこめながら歩いた乃花(のか)は、先のほうにぼんやりとした薄明かりを見つけて「あ!」と声をあげる。




「明かりがついてるよ」


「あぁ」