言われるままに目をつぶった乃花は、心の中で10秒数える。
(5…6…7…8…9…10…)
そして目を開けると、相変わらず暗くはあったものの、うっすらと近くにあるものが見えるようになった。
顔はハッキリと見えないが、目の前にいる男の子の姿もよく見える。
「わ、ちょっと見えるようになった!すごい…」
「これで少しは歩けるだろ」
そう言って、歩き始めた男の子に置いていかれないよう、乃花はあわてて足を動かした。
(この男の子のしゃべり方、ちょっと瀬戸川くんに似てるような…)
乃花は前を歩く男の子を見て、同じクラスの男の子を思い浮かべる。