大きいお友だちがボクを抱えて、「捨ててしまおう」と言ったよ。
ここは真っ暗で、小さいお友だちも、大きいお友だちも、だぁれもいない。
ひとりぼっちでさみしいから、みんなをここに呼んでこよう。
でも、みんなはいつか帰ってしまうから、ずっとここにいてくれるように、おまじないをかけようかな。
フフフ、フフフ、楽しみだなぁ。
みんなと遊ぶのが、楽しみだなぁ。
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ひじに提げた買い物カゴへ、そうめんや味噌を入れていく母のとなりで、土谷乃花は、ぼーっと商品だなをながめていた。
小学5年生にもなれば、1人でお使いを頼まれることもある。
そんなときは真剣に見つめる値札も、母がとなりにいる休日の今日は、道ばたでゆれる野草と同じように、流し見してしまう。