大きいお友だちがボクを(かか)えて、「捨ててしまおう」と言ったよ。

 ここは真っ暗で、小さいお友だちも、大きいお友だちも、だぁれもいない。

 ひとりぼっちでさみしいから、みんなをここに呼んでこよう。


 でも、みんなはいつか帰ってしまうから、ずっとここにいてくれるように、おまじないをかけようかな。


 フフフ、フフフ、楽しみだなぁ。

 みんなと遊ぶのが、楽しみだなぁ。




****


 ひじに()げた買い物カゴへ、そうめんや味噌(みそ)を入れていく母のとなりで、土谷(つちや)乃花(のか)は、ぼーっと商品だなをながめていた。

 小学5年生にもなれば、1人でお使いを頼まれることもある。

 そんなときは真剣に見つめる値札も、母がとなりにいる休日の今日は、道ばたでゆれる野草(やそう)と同じように、流し見してしまう。