「……つまり、鶴羽樹とかが勝手に動いたとしたらそれはほっとくってこと」
「そうだな。それで契約通りだろう?」
鶴羽樹は、読めないな……。鳥澤くんの事件を思い出せば、否応なく鶴羽樹の躊躇のなさも思い出す。あれを知っていると、下手に探りにはいけない。そもそも所在不明というのだから、一体、鶴羽樹と鹿島くんとの繋がりは何なのか。私が切るべきカードはここなのだろうか?
「……鹿島くんが御三家にしてきたことの理由は、松隆くんを嫌いだからだよね」
「そうだな」
「じゃあ、松隆くんに直接手を下す計画がまだ残ってるの?」
「残っているとして、はいそうですと答える馬鹿がいるか?」
「今は答える馬鹿になってるかもしれないじゃん」
「残念ながらなっていない」
「そこまで誰かを嫌いになることってできるの?」
裏を返せば、松隆くんと何かあったんじゃないのと、何度となく訊ねたその問いに、やはり鹿島くんは顔色一つ変えず、淡々と荷物を整理する。
「まぁ、君はないんだろうね、誰かを殺したいほど嫌いになることが」
確かに、「嫌いな人いる?」と訊かれても、はっきりとは答えられなかったと思う。鹿島くんのことを嫌いになるまでは。
蝶乃さんはやたら噛みついてきて鬱陶しいと思う。笛吹さんなんて最早記憶の彼方だ。藤木さんは、雅をあんな風に利用したのは許せないし二度と関わらないでほしいと思うけど、嫌いとは少し違う。同じ事件にいた他の人達だってそう。鳥澤くんにはマイナスの感情を持てない。その理由はきっと、事件が未遂に終わったからというだけではなくて、なんとなく大義名分を感じてしまったからというか、同じ立場なら気持ちは分かるというか……、どちらかというと月影くんとの問題だから私がどうこう言えるものじゃないというか。
お母さんのこともお父さんのことも、別に嫌ったり恨んだりしてるわけじゃない……と思う。昔のお父さんと今のお母さんだって、私を好きになれないこととか、私を嫌いだとか、そんなことは仕方がない。それは、どうしようもない。
そう、考えると、鹿島くんの指摘は正しいのかもしれない。
「そうだな。それで契約通りだろう?」
鶴羽樹は、読めないな……。鳥澤くんの事件を思い出せば、否応なく鶴羽樹の躊躇のなさも思い出す。あれを知っていると、下手に探りにはいけない。そもそも所在不明というのだから、一体、鶴羽樹と鹿島くんとの繋がりは何なのか。私が切るべきカードはここなのだろうか?
「……鹿島くんが御三家にしてきたことの理由は、松隆くんを嫌いだからだよね」
「そうだな」
「じゃあ、松隆くんに直接手を下す計画がまだ残ってるの?」
「残っているとして、はいそうですと答える馬鹿がいるか?」
「今は答える馬鹿になってるかもしれないじゃん」
「残念ながらなっていない」
「そこまで誰かを嫌いになることってできるの?」
裏を返せば、松隆くんと何かあったんじゃないのと、何度となく訊ねたその問いに、やはり鹿島くんは顔色一つ変えず、淡々と荷物を整理する。
「まぁ、君はないんだろうね、誰かを殺したいほど嫌いになることが」
確かに、「嫌いな人いる?」と訊かれても、はっきりとは答えられなかったと思う。鹿島くんのことを嫌いになるまでは。
蝶乃さんはやたら噛みついてきて鬱陶しいと思う。笛吹さんなんて最早記憶の彼方だ。藤木さんは、雅をあんな風に利用したのは許せないし二度と関わらないでほしいと思うけど、嫌いとは少し違う。同じ事件にいた他の人達だってそう。鳥澤くんにはマイナスの感情を持てない。その理由はきっと、事件が未遂に終わったからというだけではなくて、なんとなく大義名分を感じてしまったからというか、同じ立場なら気持ちは分かるというか……、どちらかというと月影くんとの問題だから私がどうこう言えるものじゃないというか。
お母さんのこともお父さんのことも、別に嫌ったり恨んだりしてるわけじゃない……と思う。昔のお父さんと今のお母さんだって、私を好きになれないこととか、私を嫌いだとか、そんなことは仕方がない。それは、どうしようもない。
そう、考えると、鹿島くんの指摘は正しいのかもしれない。