『……違うよ』
『嘘』
『……亜季』
はっきりと答えないまま、孝実はただ、終わりだけをにおわせた。
『俺達は家族になったけど、今後できる限り関わりは持たない。そうするべきだし、そうすることができるって、分かってるだろ?』
分かっていた。だから私は、会いにいこうとも思わなかったし、連絡を取ろうとも思わなかった。謝罪したほうがいいのだろうかと考えたこともあったけど、連絡を取りたいと感じている私が考えた口実なんだと気付いてやめた。
「おい」
桐椰くんの声ではっと我に帰れば、線路の遠くに新幹線が見えていた。
「なに?」
「なにじゃねーよ、重いなら持ってやろうかって言ったんだよ」
「え、ううん」
言われて気付いたけれど、御三家は旅行帰りとは思えない軽装だった。そういえば、大きい荷物は宅配便で送ってしまうって言ってたっけ。
家に荷物を送っても、受け取ってくれる人がいるから。
「大丈夫、大して入ってないから」
「そうか?」
ぎゅう、とカバンの取っ手を握りしめて、目を閉じた。
『……さよなら、亜季』
きっと、最後を決めたのは、あの時だったのだと思う。
『嘘』
『……亜季』
はっきりと答えないまま、孝実はただ、終わりだけをにおわせた。
『俺達は家族になったけど、今後できる限り関わりは持たない。そうするべきだし、そうすることができるって、分かってるだろ?』
分かっていた。だから私は、会いにいこうとも思わなかったし、連絡を取ろうとも思わなかった。謝罪したほうがいいのだろうかと考えたこともあったけど、連絡を取りたいと感じている私が考えた口実なんだと気付いてやめた。
「おい」
桐椰くんの声ではっと我に帰れば、線路の遠くに新幹線が見えていた。
「なに?」
「なにじゃねーよ、重いなら持ってやろうかって言ったんだよ」
「え、ううん」
言われて気付いたけれど、御三家は旅行帰りとは思えない軽装だった。そういえば、大きい荷物は宅配便で送ってしまうって言ってたっけ。
家に荷物を送っても、受け取ってくれる人がいるから。
「大丈夫、大して入ってないから」
「そうか?」
ぎゅう、とカバンの取っ手を握りしめて、目を閉じた。
『……さよなら、亜季』
きっと、最後を決めたのは、あの時だったのだと思う。