顔芸をする彼方をスルーして、ふむふむとマドラーを吟味する。上に乗っているのはぶちの猫、黒猫、犬、ウサギ、ペンギンだ。鹿島くんのイメージに似合うものが何一つない。せめて鹿でも乗ってればギャグとして選べたけど、鹿なんてグッズにするにはニッチな動物がいるはずもなかった。
「俺だったら犬がいいなー」
「桐椰家はみんな犬派なの?」
「少なくとも俺と遼はそう。昔透冶くんの家に犬がいたからなぁ」
「……そっか」
「亜季ちゃんって犬猫どっち派だっけ?」
「両方特に好きじゃないけど、どっちか選べって言われたら犬で、キャラクターとしては猫かな」
「初めて聞いたな、そのスタンス」
ひょいと彼方は黒猫のマドラーを手に取った。黒猫のせいで、棒の部分に入っているビーズは白と黒のモノトーンだ。
「これは?」
「……やっぱり鹿島くんには可愛すぎる気が」
「マドラーなんてみんなそんなもん。選んだ時点で可愛いって」
「で、お揃いで買ったらぶちの猫でしょ? ベージュと白かぁ……」
確かにキャラクターとしては可愛いんだけど、なんとも……。手にとって思案して、鹿島くんの顔を思い浮かべて、思わずへし折りそうになる。鹿島くんの顔を思い浮かべようとすると、優等生風の笑みで嫌味を言う様子が浮かんだ。
「お揃い……!」
「めちゃくちゃ抵抗するじゃん」
「するよそりゃ! うー、でも犬は絶対やだな……マドラーでまで御三家の仲間です感出してこなくていいとか絶対言う……」
「なんで犬イコール御三家?」
「ほら、桐椰くん、犬っぽいし」
「あー? うーん? うーん……まぁそうか」
「彼方は大型犬だよね」
「可愛らしい小型犬やで」
「なんで急に似非関西弁。白々しさ三割増しだよ」
「亜季ちゃんは黒猫っぽいなー」
「えー、じゃあ黒猫とぶちの猫にしようかな。丁度ペアに……なるし……」
苦虫を噛み潰したい気持ちをぐっと堪えながらその二本を手に取ると、彼方は他人事のように声を上げて笑った。いや、実際他人事だけど。
「そんなに嫌がる亜季ちゃん初めて見た」
「だってペアだよペア! これをペアグラスに差して生徒会室に置くことになるんだよ! 女子からの視線が痛いのなんの!」
「あぁそっか、まだ生徒会長やってるんだっけ。笑えないけど面白いゲームやってんなぁ」
「俺だったら犬がいいなー」
「桐椰家はみんな犬派なの?」
「少なくとも俺と遼はそう。昔透冶くんの家に犬がいたからなぁ」
「……そっか」
「亜季ちゃんって犬猫どっち派だっけ?」
「両方特に好きじゃないけど、どっちか選べって言われたら犬で、キャラクターとしては猫かな」
「初めて聞いたな、そのスタンス」
ひょいと彼方は黒猫のマドラーを手に取った。黒猫のせいで、棒の部分に入っているビーズは白と黒のモノトーンだ。
「これは?」
「……やっぱり鹿島くんには可愛すぎる気が」
「マドラーなんてみんなそんなもん。選んだ時点で可愛いって」
「で、お揃いで買ったらぶちの猫でしょ? ベージュと白かぁ……」
確かにキャラクターとしては可愛いんだけど、なんとも……。手にとって思案して、鹿島くんの顔を思い浮かべて、思わずへし折りそうになる。鹿島くんの顔を思い浮かべようとすると、優等生風の笑みで嫌味を言う様子が浮かんだ。
「お揃い……!」
「めちゃくちゃ抵抗するじゃん」
「するよそりゃ! うー、でも犬は絶対やだな……マドラーでまで御三家の仲間です感出してこなくていいとか絶対言う……」
「なんで犬イコール御三家?」
「ほら、桐椰くん、犬っぽいし」
「あー? うーん? うーん……まぁそうか」
「彼方は大型犬だよね」
「可愛らしい小型犬やで」
「なんで急に似非関西弁。白々しさ三割増しだよ」
「亜季ちゃんは黒猫っぽいなー」
「えー、じゃあ黒猫とぶちの猫にしようかな。丁度ペアに……なるし……」
苦虫を噛み潰したい気持ちをぐっと堪えながらその二本を手に取ると、彼方は他人事のように声を上げて笑った。いや、実際他人事だけど。
「そんなに嫌がる亜季ちゃん初めて見た」
「だってペアだよペア! これをペアグラスに差して生徒会室に置くことになるんだよ! 女子からの視線が痛いのなんの!」
「あぁそっか、まだ生徒会長やってるんだっけ。笑えないけど面白いゲームやってんなぁ」