「確認するけど、最初から知ってたんじゃないんだよな?」
「多分、最初の最初、私が桐椰くん達と知り合ったときは、松隆くんが私のことを桐椰くん達に伝えたんだと思う」
妹がいるから料理くらいできるだろう、と、BCCの前、桐椰くんは私に言った。
「桐椰くんなら、義理の妹って時点で、家族の話には触れないと思う。でも最初から当たり前みたいにその話が出てた。だから……、多分、松隆くんが三人兄弟としか伝えなかったか、松隆くんもそうとしか知らなかったかで……」
「……そうだとして、誰が教えられるんだろうな」
ぬるくなったコーヒーに、彼方は顔をしかめた。
「誰が知ってんの、それ」
「……彼方には文化祭のときに話した。雅は知ってる。……鹿島くんも多分知ってる。それだけ……」
となると、怪しいのは鹿島くんしかいない。それを桐椰くんに伝えたところで、何の得があるのかは分からないけれど。
「……となると、怪しくなってきたねぇ、鹿島くん」
悪戯を企むような口調とは裏腹に、その顔は真剣そのものだった。
「ただ、それを教えて何の得になるのかね」
「……ただの嫌がらせ」
「アイツらの次は鹿島くんと契約結んでんの?」
思い当たることを呟けば、最早呆れ交じりに笑われた。彼方の前だとするりと口が滑ってしまうのはなぜだろう。松隆くんは口を滑らせてくるけれど、彼方は口が滑る空気を作る。
「それなら、栄一のヘルプは亜季ちゃん達のやってるゲームでちょっと大きすぎるハンデかな?」
「……勝手にセッティングされたゲームなんだから、そのくらいのハンデがほしいよ」
一度口が滑れば誤魔化す気にはなれなかった。
「ま、栄一のヘルプを得るとこまで辿りついたのも実力のうちってことで。今度は何を賭けてんの?」
「……何だろ。平和かな」
「そりゃ壮大だな、頑張れ」
真面目に取り合う気がないというより、口を出す気がないようだった。
「新幹線、何時だっけ?」
「三時過ぎだったかな。だからまだ時間はあるんだけど、お土産見ようと思ってるんだよね」
「大阪土産ってなんだろうな。八ツ橋か?」
思わず人間の八橋さんを思い浮かべてしまった。結局、八橋さんが鹿島くんのことを問いただしてくることはなかった。
「多分、最初の最初、私が桐椰くん達と知り合ったときは、松隆くんが私のことを桐椰くん達に伝えたんだと思う」
妹がいるから料理くらいできるだろう、と、BCCの前、桐椰くんは私に言った。
「桐椰くんなら、義理の妹って時点で、家族の話には触れないと思う。でも最初から当たり前みたいにその話が出てた。だから……、多分、松隆くんが三人兄弟としか伝えなかったか、松隆くんもそうとしか知らなかったかで……」
「……そうだとして、誰が教えられるんだろうな」
ぬるくなったコーヒーに、彼方は顔をしかめた。
「誰が知ってんの、それ」
「……彼方には文化祭のときに話した。雅は知ってる。……鹿島くんも多分知ってる。それだけ……」
となると、怪しいのは鹿島くんしかいない。それを桐椰くんに伝えたところで、何の得があるのかは分からないけれど。
「……となると、怪しくなってきたねぇ、鹿島くん」
悪戯を企むような口調とは裏腹に、その顔は真剣そのものだった。
「ただ、それを教えて何の得になるのかね」
「……ただの嫌がらせ」
「アイツらの次は鹿島くんと契約結んでんの?」
思い当たることを呟けば、最早呆れ交じりに笑われた。彼方の前だとするりと口が滑ってしまうのはなぜだろう。松隆くんは口を滑らせてくるけれど、彼方は口が滑る空気を作る。
「それなら、栄一のヘルプは亜季ちゃん達のやってるゲームでちょっと大きすぎるハンデかな?」
「……勝手にセッティングされたゲームなんだから、そのくらいのハンデがほしいよ」
一度口が滑れば誤魔化す気にはなれなかった。
「ま、栄一のヘルプを得るとこまで辿りついたのも実力のうちってことで。今度は何を賭けてんの?」
「……何だろ。平和かな」
「そりゃ壮大だな、頑張れ」
真面目に取り合う気がないというより、口を出す気がないようだった。
「新幹線、何時だっけ?」
「三時過ぎだったかな。だからまだ時間はあるんだけど、お土産見ようと思ってるんだよね」
「大阪土産ってなんだろうな。八ツ橋か?」
思わず人間の八橋さんを思い浮かべてしまった。結局、八橋さんが鹿島くんのことを問いただしてくることはなかった。