返事がきたとして、その中にはどんな情報があるのだろう。松隆くんが鹿島くんとの確執を知らないだけだというのならまだしも、そんなに有用な情報があるとは……。
「で? 俺の弟は亜季ちゃんにフラれちゃったってわけ」
「あー……」
鹿島くんと付き合っている話をする以上、確かにその話題は不可避だ。
「んと……色々あって……」
「我が弟ながら優良物件だけどなー。真面目だし料理上手いし浮気しねーし。すぐ拗ねるのと幼いのが玉に瑕」
「……むしろ精神年齢高いくらいには思ってたけど」
「なんでふったの?」
「……言ったかどうか忘れたけど、私の妹が桐椰くんの初恋の人なんだって」
「なにそれウケる」
ハッハッハッハ、と豪快に彼方は声を上げて笑った。そんなに面白いかな……。
「で? だからってフるのは直結しないけど」
「まー、私の妹としても桐椰くんが好きみたいですし、そこはお膳立てしたほうがいいんじゃないかな的な」
言いながら自分の行動を振り返ると、完全にこの理由は嘘っぱちだった。桐椰くんの隣をうろちょろして楽しんじゃってるし、桐椰くんに抱きしめられてるし、なんなら修学旅行中は優実のことなんてすっかり忘れてた。お土産だけ忘れずに買おう。
「ふーん? 義理の妹だから気遣ってんの?」
刺すような言葉選びには、どう考えても故意があった。また、図星だ。
「俺がどこまで首突っ込んでいいのか分かんないけど、多分言うヤツいないからはっきり言っとくと、亜季ちゃんが義理の妹に負い目感じる必要はないんじゃないの」
ぎゅ、とカップの持ち手を握りしめた。彼方の視線は一瞬だけ私の指先に移る。
「気にすんのは、理屈では分かるけどな。それって本当に、意味あんの?」
「……意味は」
「つか、視点変えて意地悪言っていい? 所詮初恋だろ? 今は? 亜季ちゃんが義妹に気遣ったところで、うちの弟に得あんの?」
そんなの知らない──ふりをしていたい。私の自惚れでもなんでもなくて、桐椰くんは私に優しい以上の感情をくれている。それでも時々どうしようもなく目を逸らして、無理矢理優実を押し付けてしまうのは……。
「俺の可愛い弟と義理の妹、どっちが大事?」
「で? 俺の弟は亜季ちゃんにフラれちゃったってわけ」
「あー……」
鹿島くんと付き合っている話をする以上、確かにその話題は不可避だ。
「んと……色々あって……」
「我が弟ながら優良物件だけどなー。真面目だし料理上手いし浮気しねーし。すぐ拗ねるのと幼いのが玉に瑕」
「……むしろ精神年齢高いくらいには思ってたけど」
「なんでふったの?」
「……言ったかどうか忘れたけど、私の妹が桐椰くんの初恋の人なんだって」
「なにそれウケる」
ハッハッハッハ、と豪快に彼方は声を上げて笑った。そんなに面白いかな……。
「で? だからってフるのは直結しないけど」
「まー、私の妹としても桐椰くんが好きみたいですし、そこはお膳立てしたほうがいいんじゃないかな的な」
言いながら自分の行動を振り返ると、完全にこの理由は嘘っぱちだった。桐椰くんの隣をうろちょろして楽しんじゃってるし、桐椰くんに抱きしめられてるし、なんなら修学旅行中は優実のことなんてすっかり忘れてた。お土産だけ忘れずに買おう。
「ふーん? 義理の妹だから気遣ってんの?」
刺すような言葉選びには、どう考えても故意があった。また、図星だ。
「俺がどこまで首突っ込んでいいのか分かんないけど、多分言うヤツいないからはっきり言っとくと、亜季ちゃんが義理の妹に負い目感じる必要はないんじゃないの」
ぎゅ、とカップの持ち手を握りしめた。彼方の視線は一瞬だけ私の指先に移る。
「気にすんのは、理屈では分かるけどな。それって本当に、意味あんの?」
「……意味は」
「つか、視点変えて意地悪言っていい? 所詮初恋だろ? 今は? 亜季ちゃんが義妹に気遣ったところで、うちの弟に得あんの?」
そんなの知らない──ふりをしていたい。私の自惚れでもなんでもなくて、桐椰くんは私に優しい以上の感情をくれている。それでも時々どうしようもなく目を逸らして、無理矢理優実を押し付けてしまうのは……。
「俺の可愛い弟と義理の妹、どっちが大事?」