「俺、好きな人いるから」


 告白は、秒でフラれた。


「……それって同じ学部?」

「いや」

「……学内?」

「いや」

「……年上?」

「いや」

「……年下?」

「いや」

「……卒業したら付き合うとかそういう」

「いや」


 ノーしか返してこないのは、きっと私に興味がないからだ。


 それは凄く分かったけれど、入学当初からの憧れの鹿島くんと付き合うチャンスを──しかも気付いたら当然のように彼女ができていて一度諦めざるを得なかったのが、ちょうどいまフリーでいるなんて絶好の機会を──逃すことなど、できようもなかった。


「……好きじゃなくてもいいので付き合ってください」


 そんなことを言ったって、どうせ付き合ってなんかくれない──と、思っていた。


「……まあ、今は彼女いないし、いいか」


 それが、予想外に“いいお返事”を貰って、一瞬意味が分からなくて、でも分かった瞬間、その場で小躍りしそうなほどに喜んでしまった。


 それが、半年前の話。