「遼に正式にフラれ、さすがにいたたまれないんじゃないか」
「月影くんって本当に蝶乃さんのこと嫌いだよね」
「蠅を好きな人は少ないだろう?」
「五月蠅いって言いたいんだよね、分かるよ」
当の本人は「別に正式な告白じゃねーし正式にフッたとかでもねーだろ……」とぶつくさ抗議し、松隆くんが「いや、あれを正式にフッたって言うんだよ。公衆の面前で水をかけるくらい効果がある」と根に持った返事をしている。
それはさておき、月影くんの言っていた『俺の言葉をもう少し正確に解せ』というのは、そういうことか。桐椰くんに似た人が襲われた、ということではなくて、“桐椰くんに似ているから襲われた”という噂があることが問題だと。
「それで結局、その半田先輩のことで桐椰くんが責められたらどうなるの? そんなことしたって、今更桐椰くんが悪いっていうひとはいないんじゃないのかな」
「大体の人はそうかもしれんが、妬む人も多いだろう。もとの素行に悪いところはあった、だがもともと特待で入学しているうえ、今は生徒会副会長だ。潜在能力はあるが発揮せずに遊んでいただけだと傲り吹聴しているようにも見えなくはない」
「俺の悪口っぽく言うのやめろよ」
「だが、公衆の面前で水をかけられる親友と並べば輝かしく見えるかもしれん」
「俺の悪口もやめてくれる?」
ただ、桐椰くんに嫉妬したとして、そこから桐椰くんに何を仕掛けるんだろう……。元希望役員が、今から何かできることなんてあるとは思えないし、当然、何の役職でもなかった半田先輩もそうだ。
「しかし、鶴羽が何をしたいかは一向に分からんな……。その一件で遼の評価が低下するとして、それが何になる。そもそも、動機が俺達の読み通りだとしたら、憂さ晴らしか逆恨みもいいところだからな、短絡的な動機に対して結果が慎重すぎる。鶴羽がそんな方法をとるとは考え難い」
「本当にね。まあ、そういうわけで、後から話したほうの予想は、筋も通るし、計画もまあ、成功はするかもしれないけど、鶴羽のやり口にしては迂遠だし、いまいち目的が分からないねって話なんだ。そういう意味では、俺達を適当な廃ビルでリンチするほうが有り得る気もするんだよね」
「月影くんって本当に蝶乃さんのこと嫌いだよね」
「蠅を好きな人は少ないだろう?」
「五月蠅いって言いたいんだよね、分かるよ」
当の本人は「別に正式な告白じゃねーし正式にフッたとかでもねーだろ……」とぶつくさ抗議し、松隆くんが「いや、あれを正式にフッたって言うんだよ。公衆の面前で水をかけるくらい効果がある」と根に持った返事をしている。
それはさておき、月影くんの言っていた『俺の言葉をもう少し正確に解せ』というのは、そういうことか。桐椰くんに似た人が襲われた、ということではなくて、“桐椰くんに似ているから襲われた”という噂があることが問題だと。
「それで結局、その半田先輩のことで桐椰くんが責められたらどうなるの? そんなことしたって、今更桐椰くんが悪いっていうひとはいないんじゃないのかな」
「大体の人はそうかもしれんが、妬む人も多いだろう。もとの素行に悪いところはあった、だがもともと特待で入学しているうえ、今は生徒会副会長だ。潜在能力はあるが発揮せずに遊んでいただけだと傲り吹聴しているようにも見えなくはない」
「俺の悪口っぽく言うのやめろよ」
「だが、公衆の面前で水をかけられる親友と並べば輝かしく見えるかもしれん」
「俺の悪口もやめてくれる?」
ただ、桐椰くんに嫉妬したとして、そこから桐椰くんに何を仕掛けるんだろう……。元希望役員が、今から何かできることなんてあるとは思えないし、当然、何の役職でもなかった半田先輩もそうだ。
「しかし、鶴羽が何をしたいかは一向に分からんな……。その一件で遼の評価が低下するとして、それが何になる。そもそも、動機が俺達の読み通りだとしたら、憂さ晴らしか逆恨みもいいところだからな、短絡的な動機に対して結果が慎重すぎる。鶴羽がそんな方法をとるとは考え難い」
「本当にね。まあ、そういうわけで、後から話したほうの予想は、筋も通るし、計画もまあ、成功はするかもしれないけど、鶴羽のやり口にしては迂遠だし、いまいち目的が分からないねって話なんだ。そういう意味では、俺達を適当な廃ビルでリンチするほうが有り得る気もするんだよね」