「違います! ……いや、結果的に松隆くんが恥をかく手段しか思い浮かばなかったんだけど……」
しどろもどろと視線を泳がせ、遂には顔ごと俯いてしまった。だめだ、松隆くんに責められると、すべて白状せずにはいられない。もういいや……。
「その、どうにかして、破談に持ち込めばいいって、ことだったので……鳥澤くんにふーちゃんの彼氏役をさせようということになりまして……」
「どうしてそこまでして鶴羽のことを探ろうと思ったの?」
「だ、だって……鹿島くんは何も教えてくれないし……鶴羽くん、何してくるか分からな過ぎて不気味だし……」
「……ふうん」
「……だから、その……。……すみませんでした……」
「……すみませんでした」
野次馬をしてしまったのは事実だし、そこは謝罪すべき案件なので、さっきとは別の意味で項垂れつつ、鳥澤くんと共に謝罪。松隆くんは無言だ。やっぱり怒ってるかな……と、視線だけ上げてみると、表情は、悪くはない。
「……あのう」
「……別に怒ってはないけど」
けど? けど、何? 恐る恐る顔色を窺っていると、松隆くんはちょっと溜息を吐いた。
「……まあ、あんまり他人に見られたいものではなかったからね。随分と野次馬がいたもんだなって思ってるだけだよ」
「やっぱり怒ってるよね?」
言い方に棘しかない。私と鳥澤くんは心の中で平身低頭するあまり顔を見合わせることもできなかった。少しでも沈黙が落ちると空気が重くて仕方がない。
「……まあ、仕方ないことだけどね」
「ん……?」
松隆くんが気だるげに立ち上がったので、どうやら話は終わりらしいと察する。まだ謝罪姿勢を崩さない私達の間を抜け、松隆くんはバスルームに引っ込むと、元々着ていた服を持ってくる。
「なんでもないよ。ありがとね、着替え。みんなのところに降りようか」
「あ、うん、そうだね……」
簡単に服を畳む松隆くんに、私はしどろもどろと返事をし、鳥澤くんは首の皮一枚繋がったかのように安堵の息を吐いた。本当に悪いことをしたなと思う反面、なぜここに付き添ってくれたのかは謎だ。
「……あの、じゃあ……行こうか。多分、薄野さん達も待ってくれてるんだろうし……」
「……うん」
そうだね、と頷いて、ふと、鹿島くんのことが脳裏に過った。
しどろもどろと視線を泳がせ、遂には顔ごと俯いてしまった。だめだ、松隆くんに責められると、すべて白状せずにはいられない。もういいや……。
「その、どうにかして、破談に持ち込めばいいって、ことだったので……鳥澤くんにふーちゃんの彼氏役をさせようということになりまして……」
「どうしてそこまでして鶴羽のことを探ろうと思ったの?」
「だ、だって……鹿島くんは何も教えてくれないし……鶴羽くん、何してくるか分からな過ぎて不気味だし……」
「……ふうん」
「……だから、その……。……すみませんでした……」
「……すみませんでした」
野次馬をしてしまったのは事実だし、そこは謝罪すべき案件なので、さっきとは別の意味で項垂れつつ、鳥澤くんと共に謝罪。松隆くんは無言だ。やっぱり怒ってるかな……と、視線だけ上げてみると、表情は、悪くはない。
「……あのう」
「……別に怒ってはないけど」
けど? けど、何? 恐る恐る顔色を窺っていると、松隆くんはちょっと溜息を吐いた。
「……まあ、あんまり他人に見られたいものではなかったからね。随分と野次馬がいたもんだなって思ってるだけだよ」
「やっぱり怒ってるよね?」
言い方に棘しかない。私と鳥澤くんは心の中で平身低頭するあまり顔を見合わせることもできなかった。少しでも沈黙が落ちると空気が重くて仕方がない。
「……まあ、仕方ないことだけどね」
「ん……?」
松隆くんが気だるげに立ち上がったので、どうやら話は終わりらしいと察する。まだ謝罪姿勢を崩さない私達の間を抜け、松隆くんはバスルームに引っ込むと、元々着ていた服を持ってくる。
「なんでもないよ。ありがとね、着替え。みんなのところに降りようか」
「あ、うん、そうだね……」
簡単に服を畳む松隆くんに、私はしどろもどろと返事をし、鳥澤くんは首の皮一枚繋がったかのように安堵の息を吐いた。本当に悪いことをしたなと思う反面、なぜここに付き添ってくれたのかは謎だ。
「……あの、じゃあ……行こうか。多分、薄野さん達も待ってくれてるんだろうし……」
「……うん」
そうだね、と頷いて、ふと、鹿島くんのことが脳裏に過った。