「え、なんで。あんなイケメンなのに」
「顔が整いすぎて逆にコンプレックスなんだ」
今日の鳥澤くん、数々の知らなくていいことを知ってしまっている。下手すると松隆くんに消されてしまうかもしれない。
「……では、松隆様とのお付き合いは本日までというわけですか」
「そうだねー。王子様に貸し一つだなー」
「……なるほど。……ところで、桜坂様」
「え、あ、はい! なんでしょう!」
まさか深古都さんがここで対価をくれるとは思いもよらず、狼狽した返事をしてしまった。確かにこの場で見せられて困るものではない気はするけど……。
ただ、予想に反して、私に渡されたのは別のものだった。少し大きめの、軽い紙袋だ。
「……え、なんですか、これ」
「松隆様に着替えを渡しに行っていただけます?」
「え、あー……そう、いうことですか……」
そっか、ホテルに都合よく着替えがあるわけないもんね。ふーちゃんのお父さんが深古都さんを呼ぶときについでに頼んだのかな。……そうだとしたらやはり深古都さんがここに来るのは早すぎでは? すぐにやって来たどころか松隆くんの着替えまで準備していたなんて、準備万端過ぎてどうかしてる。
「分かりました……えっと、松隆くんが貸してもらってる部屋って何号室なんだっけ」
「701号室だ」
月影くんが答えてくれた代わりに、桐椰くんは何か言いたそうな顔をしていた。首を傾げることで促してみるけど、桐椰くんが口を開く気配はない。ただ、私と桐椰くんを見比べていた鳥澤くんがはっとした。
「桜坂さん、俺も一緒に行こうか」
「え、大丈夫だよ。多分迷わないよ」
「ほら、多分コートとかも一緒に持って行ったほうがいいし」
ね、と言いながら鳥澤くんはすぐに松隆くんのその他の荷物を手に取ってしまった。別に松隆くんに二人きりで会わなきゃいけない理由はないので「そういうことなら」と頷く。でも鳥澤くん、松隆くんに柱ドンされて以来、松隆くんのこと怖がってそうなのに、変なの。
「顔が整いすぎて逆にコンプレックスなんだ」
今日の鳥澤くん、数々の知らなくていいことを知ってしまっている。下手すると松隆くんに消されてしまうかもしれない。
「……では、松隆様とのお付き合いは本日までというわけですか」
「そうだねー。王子様に貸し一つだなー」
「……なるほど。……ところで、桜坂様」
「え、あ、はい! なんでしょう!」
まさか深古都さんがここで対価をくれるとは思いもよらず、狼狽した返事をしてしまった。確かにこの場で見せられて困るものではない気はするけど……。
ただ、予想に反して、私に渡されたのは別のものだった。少し大きめの、軽い紙袋だ。
「……え、なんですか、これ」
「松隆様に着替えを渡しに行っていただけます?」
「え、あー……そう、いうことですか……」
そっか、ホテルに都合よく着替えがあるわけないもんね。ふーちゃんのお父さんが深古都さんを呼ぶときについでに頼んだのかな。……そうだとしたらやはり深古都さんがここに来るのは早すぎでは? すぐにやって来たどころか松隆くんの着替えまで準備していたなんて、準備万端過ぎてどうかしてる。
「分かりました……えっと、松隆くんが貸してもらってる部屋って何号室なんだっけ」
「701号室だ」
月影くんが答えてくれた代わりに、桐椰くんは何か言いたそうな顔をしていた。首を傾げることで促してみるけど、桐椰くんが口を開く気配はない。ただ、私と桐椰くんを見比べていた鳥澤くんがはっとした。
「桜坂さん、俺も一緒に行こうか」
「え、大丈夫だよ。多分迷わないよ」
「ほら、多分コートとかも一緒に持って行ったほうがいいし」
ね、と言いながら鳥澤くんはすぐに松隆くんのその他の荷物を手に取ってしまった。別に松隆くんに二人きりで会わなきゃいけない理由はないので「そういうことなら」と頷く。でも鳥澤くん、松隆くんに柱ドンされて以来、松隆くんのこと怖がってそうなのに、変なの。